2022年、日本人はマスクを外せるか? マスクは「感染対策」「道徳的ルール」を経て「人間関係の意思表示」となる!?【松野大介】 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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2022年、日本人はマスクを外せるか? マスクは「感染対策」「道徳的ルール」を経て「人間関係の意思表示」となる!?【松野大介】

《2020年 春》

 未知のウイルスに対して自粛と手荒い・うがいとマスクが個人で出来る絶対的な感染対策となる。

 私たち国民のごく一部は、恐怖心から買い占めが起こり、品切れになる。

 この時期、すでに「マスクは道徳的なルールになっている」と述べる識者がいた。

 

《2020年 夏》

 テレビ報道によりマスク警察が取り沙汰され、マスク義務は厳格化。その一方で、マスク熱中症の死亡者が出る。

 

《2020年 秋~冬》

自粛が解けてもマスクしていない人はお断りの店や施設が増加。マスク着用など感染対策しない店や、店で酒を飲む人に対しての批判が報道され、同調圧力化していく。

 私たち国民は会社や店でのルールに従うことと、「自分が危機感のない人と思われたくない」などの意識も加わり、マスクを手放せなくなり、習慣となる。(その意識が自分も同調圧力を作る側にもなっている)

 

《2021年 夏》

 政治家が複数で会食していると発覚し、「黙食です」と言い訳をして批判される。私たち国民は「黙って食べても息は漏れるだろ」と常識で反論したが、政治家とテレビの専門家がマスク会食と黙食を勧めるので、従わざるを得なくなる。

 緊急事態が延々と続くにも関わらずデルタ株が蔓延。テレビの専門家が「コロナワクチン接種とマスクを徹底」と呼びかける。私たちは米国での大谷出場のオールスターゲームを見て、「お客はほとんどマスクしてないし大声を上げて声援しているのに、なぜ日本ではダメなの?」と違和感を強くする。

 

《2021年 秋》

 デルタ株は、五輪開催や店を開ける飲食店の増加に関わらず陽性者が一気に激減。専門家は「理由がわからない」とか「マスクをピタッとした人が増えたから」と解説。私たち国民に「人流」や「マスク」が感染予防や感染抑制にあまり関係ないのでは? との懸念が膨れる。

 だが今の私たちはもう完全に習慣と化したマスクを外す選択肢はない。

 この1年半、おしゃれマスクや化粧が落ちないマスクなど、女性のコスメと化し、ビジネス化も進んだ。ある情報番組では「マスクしたままサックスが吹ける!」という中央に横線で切れ込みがあるマスクを紹介していた。日本のメディアと商売する側、買う側の民度の低さを表わしていると思う。

 しかし買う側は商法に踊らされているのではなく、「マスクしていなきゃいけないなら、楽しむしかない」というリヒリズムも含んだポジティブな捉え方もしている。

「感染対策」「習慣化」「自分だけしないわけにいかないという世間体対策」「コスメなどビジネス化」などの外せない(外したくない?)理由の他に、もう1つあると私は考える。

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松野 大介

まつの だいすけ

1964年神奈川県出身。85年に『ライオンのいただきます』でタレントデビュー。その後『夕やけニャンニャン』『ABブラザーズのオールナイトニッポン』等出演多数。95年に文學界新人賞候補になり、同年小説デビュー。著書に『芸人失格』(幻冬舎)『バスルーム』(KKベストセラーズ)『三谷幸喜 創作を語る』(共著/講談社)等多数。沖縄在住。作家、ラジオパーソナリティー、文章講座講師を務める。

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